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夏の100冊キャンペーンで購入。
大泣き、ということはないけれど胸に染み入る良い物語でした。まず、表紙絵がとても美しい。作品イメージと絶妙にマッチした幻想的な色使いは一般文庫でもなかなかお目にかかることは出来ません。もっと漫画チックなイラストを表紙に据える考えもあったのでしょうが、この「英断」をやってのけた編集部に喝采。
デビュー作だけあってやや展開にぎこちなさは見られるものの、そんなことでこの『ミミズクと夜の王』の魅力が損なわれることはありません。この本の最大の魅力はなんといっても、全てのキャラクターがいい人であり、愛を直線的であれ曲線的であれ介して行動しているというところにあると思います。主人公のミミズクは村人からの虐待に絶望し、生きることに疲れ果てている少女です。最初は誰からも愛されなかった彼女が、やがてゆっくりと他の人に愛されるようになり、そして自分が他の誰かを愛する側に回るのがとても印象的でした。
愛愛愛愛、とうるさいですが、そうです、この物語は「愛」がテーマなのです。直球ど真ん中。でも、無駄に照れくさくなったり、抽象的にならない。ブレーキが効いてる。そこが、凄いところです。
この小説は、ミミズクたちを取り巻く世界設定が削られてあります。それに、おや、と思う読者もいるでしょう。私もそうです。私が好きな西洋のファンタジーはトールキンの呪縛恐ろしくどれも世界設定――宗教体系から物価まで――制定されていて、世界と一体感を味わうのが一種の魅力になっています。しかし、『ミミズクと夜の王』でそんなことをする必要は、ないと思います。子供達に教訓を伝えるイソップ童話の世界も、あやふやで何故虫が喋るかについての言及はありません。そんなことをしていたら、たくさんの情報がなだれ込んできて「伝えたいこと」が埋もれてしまうからです。やはり、お勧めするのは、あくまで自分の身の周りでの出来事だと思いながらページを繰ることです。決して、ミミズクやクロやフクロウやアンディなどの愛すべき人物達は遠い世界のものでは、ないと思います。

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