エンタティメント紹介ブログ
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
筒井康隆氏の『ダンシング・ヴァニティ』と『ビアンカ・オーバースタディ』の予習のために購入。
傑作。
筒井氏がベタ褒めするのも分かる。
謎の生命体との戦闘において死んだ初年兵キリヤ・ケイジが反復を繰り返しつつ同じ時間の中に居るリタと交流を繰り返す恋愛小説。戦争モノだから、武骨な印象があると思っていたけれど、終盤は繊細かつ切なさに溢れていてよかった。いや、武骨なのも好きだけどね。
はっきりとバックボーンが判明しない敵との戦闘という舞台はまさしく90年代後半のSFアニメそのものですが、本作においては登場人物の誰もがアニメのように世界と直結する手段を持ちえていません。ヒロイズムはあるけれど、その延長線上に世界は存在しない、ということがはっきりと提示されていてセカイ系ロボットものに食傷気味の私にとっては新しかったです。
本作では成長が大きなテーマになっています。本来成長は時間を最小単位として動いています。まず時間なくして成長はないのですが、その時間が一点に圧縮された世界を描いたのが本作です。基本構造としては成長物語をなぞっていますが、そこに反復というショートカットが追加されたことにより、奇妙な味わいと切なさを醸し出しています。
反復の末に発覚する、ある事実はケイジとリタに重大な選択を押し付け、そして痛みを抱えながら未来がやってきます。生きるという概念を希薄にして、そして最後に濃厚にする桜坂氏はただものではありません。
全力をあげておすすめいたします。
傑作。
筒井氏がベタ褒めするのも分かる。
謎の生命体との戦闘において死んだ初年兵キリヤ・ケイジが反復を繰り返しつつ同じ時間の中に居るリタと交流を繰り返す恋愛小説。戦争モノだから、武骨な印象があると思っていたけれど、終盤は繊細かつ切なさに溢れていてよかった。いや、武骨なのも好きだけどね。
はっきりとバックボーンが判明しない敵との戦闘という舞台はまさしく90年代後半のSFアニメそのものですが、本作においては登場人物の誰もがアニメのように世界と直結する手段を持ちえていません。ヒロイズムはあるけれど、その延長線上に世界は存在しない、ということがはっきりと提示されていてセカイ系ロボットものに食傷気味の私にとっては新しかったです。
本作では成長が大きなテーマになっています。本来成長は時間を最小単位として動いています。まず時間なくして成長はないのですが、その時間が一点に圧縮された世界を描いたのが本作です。基本構造としては成長物語をなぞっていますが、そこに反復というショートカットが追加されたことにより、奇妙な味わいと切なさを醸し出しています。
反復の末に発覚する、ある事実はケイジとリタに重大な選択を押し付け、そして痛みを抱えながら未来がやってきます。生きるという概念を希薄にして、そして最後に濃厚にする桜坂氏はただものではありません。
全力をあげておすすめいたします。
PR
COMMENT